中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
5日、アメリカのアップル社が新製品「iPhone4S」を発表した。これまでのiPhone4に比べ、CPUやOSなどに新しい機能が追加され、アップル社が史上最高と自負しているスマートフォンだ。
日本でもスマートフォンのシェアを急拡大させている、iPhoneだが、今回の4Sが発売される前から、「iPhone5」という名前の次世代機が発売されると、一部のファンで盛り上がっていた。結局、「4S」が発売されたことで、「iPhone5」の発売は空振りとなった形だが、中国最大のショッピングサイト「タオバオ」では、「4S」発売前から、「iPhone5」が怒涛の勢いで販売されているのだ。
タオバオのサイトでは、「iPhone5」と入れて検索すると、実に300件近くもヒットする。「iPhone5 正品」と入れて検索しても、67件ヒットした。わざわざ本物とうたっている「iPhone5」がこんなにあることに驚きだ。ちなみに、4S発売前には、600件以上がアップされていたそうで、「4S」が出たとたん、あわてて名前を変えて売り出した業者が約半数いるという計算だ。
価格は最も安いもので、2800元と3万円以上もする代物だが、購入客のレビューや評価を見ると、おおむね喜んでいるようす。彼らは偽物とわかって購入しているのかもしれないし、外観がかっこよければ、たとえ「iPhone4」の機能だっとしても、問題ないと思っているのかもしれない。
コピーする技術は超一流の中国。それならば、アップル社のiPhoneにこだわる必要もないし、独自の低価格スマートフォンを開発すればいいような気もするが、若い世代を中心としたブランドへのこだわりはあるのだろう。
タオバオは「見つからない宝物はない」「売れない宝物はない」というのがコンセプトという。「4S」が発売されてしまって、「iPhone5」はしばらく発売されないだろう。となると、「iPhone5」は、バッタもんとわかっていても、中国人の一部の人にとってはお宝なのかもしれない。
【杉本 尚丈】
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